メモ:
同一名称に多岐の基原植物が関与する複雑な生薬である。特に中国の各省には同属種が多く、何れも各地域内に薬用に供せられるものが分布し、各々生薬としての使用がある。日本でもサラシナショウマ、オオバショウマに代表されるが、中国での流通には混乱させられる。乙字湯が“痔を治す特効薬”と話題になった当初、升麻が払底したことがある。国内のサラシナショウマを採集してまかなうだけの量は到底及ばず結果的に中国の北升麻を拡大輸入したことから、以後、中国の商品が当然となって、輸入が開始され、中国から多くが供給を受けるに至っている。サラシナショウマ(単穂升麻)は山の草原、深山や山地のやや湿った林の中に多い多年生草本で、高さ40~150cm、多数の長いひげ根をもつ。8~10月に長さ20~30cmでブラシ状の長い総状花序を密に付ける。発汗、解熱、解毒、消炎、鎮静などに応用され、辛夷清肺湯、升麻葛根湯、乙字湯、などに欠かせぬ生薬となっている。品不足の時は類似品として、日本では赤升麻(アカショウマ、トリアシショウマ:ユキノシタ科)、中国からは緑升麻・麻花頭(Serratula chinensis:キク科)といった科も植物も全く異なるものが平然と使用されるに至った経緯がある。関係者の無知がここに現れたものであるが、外形も内部構造も明らかに異なること明瞭であり、升麻の代用にはなり得ない。二度と出ぬことに傾注すべきものである。